最近のミュールは、靴底がオシャレ。
かわいい模様が描かれてたり、ブランドロゴがデザインされてたり、
彫りが浅く、決して滑り止めにはならないであろう仕様になっているのです。
そのデザインが気に入ったからではないのですが、
今年私も、変な文字が靴底に描かれたミュールを買いました。
確か靴底には、「cherry」と描かれていました。
そのミュールは捨ててしまったので、確認は出来ません。
そして先日、台風が来たあの日、事件は起こりました。
有楽町線の東池袋駅は、外から構内に入る長いエスカレーターがあります。
地上から地下に入るまでの数メートルは完全に外なので、
雨が入り込み、階段部分は濡れて滑りやすくなっていました。
ラッシュ時だったこともあって、エスカレーターに乗る人はみんな早足。
私もそれに合わせてエスカレーターを駆け下りました......
と、その時、後ろのおっさんがでっかいクシャミをしました。
「UZE-」と思ったと同時に、おっさんの黒い折り畳み傘が、
前にいる私の顔面を捕らえたのです。
強風が吹いていたこともあって、おっさん傘はぴったりと私の顔面にひっつきました。
「UWA-」っと思ったと同時に、私は、ダダダダ~~~~ッ!!っと、
エスカレーターの残り10段以上を滑り落ちてしまいました。
こういう時って不思議なもので、「痛い」よりも「恥ずかしい」が先に来るんですね。
私は、痛みを我慢して、何事もなかったかのごとく、むしろデキル女風に改札まで歩き、
華麗にスイカをピピっと鳴らしました。
しかし、私はすぐに周囲のざわつきに気づきました。
振り返ると、江角風の私のミュールがエスカレーターの最下段で、
カランコロンと転がっていたのです。
慌てて、むりやり自動改札を突破し、ミュールをとりました。
自動改札は、私のせいでピーピーうるさいし、
混雑している駅構内で、一部始終をみていた人たちの
あの冷ややかな目は今も忘れられません。
一瞬、駅を出て、ほとぼりが冷めた頃にまた改札を通ろうか、
なんて考えたりしながら、ミュールを履きました。
が、するりするり。
嫌なことは重なるもので、ミュールは壊れていました。
私は、痛さと恥ずかしさと驚きでパニックになり、
少しばかり呆然としていると、全てを見ていたあの黒傘おっさんが話しかけてきました。
「大丈夫? ごめんね、弁償するね。」
と、申し訳なさそうに言います。
「大丈夫ですので!」
と、私は言ったのですが、結局、黒オヤジは財布から2000円を取り出し、
渡してきたのです。
思わず私は、
「なぜに2000円か?」
と、口走ってしまい、ハッとした私を尻目に、おじさんは去って行きました。
仕方なく、持っていたガムテとホチキスで、壊れたミュールを裏側から直し、
私は電車に乗りました。
この事件の発端は、全く機能的でないミュールの「cherry」の文字だと思います。
これが、「WMWMWMWM」とか「SUBERISHIRAZ」とか多少複雑だったら、
こんなことにはならなかったのかも知れません。
それともチェリーがせめて、大文字だったら......。
なんて。
これは実話です、ですが。
かなり脚色しちゃいました。
実際には、台風の中、東池袋駅へ入るエスカレーターに乗った時、
後ろにいたおっさんの黒い折り畳み傘が、風でなびき、
私の頭をつんつんつんとつっついたのです。
「なんだよ」と後ろを振り返りながら、
早足でおっさんから逃げようと歩きだしたときに、自ら転げ落ちたのです。
おっさんは、関係ありません。
さらに、ミュールが脱げたりもしていませんし、壊れてもいません。
自動改札も突破していなければ、周囲の人々の様子も覚えていません。
もちろん、お金ももらっていないし、ガムテなんか持ち歩いているわけがありません。
江角風も米倉風でした。
捏造しました。
でも、転げ落ちたことは事実で、擦り傷もいっぱいできました。
そしてみんなに、「おっさんの傘が顔面に被さって転んだ」と話しました。
騙した皆さん、すみません。
捏造して人に話したのは初めてでしたが、
4人5人と話していくうちに、ささやかなウソは塗り重ねられていき、
いつのまにか自分でもどこまでが本当か分からなくなりました。
果たして人間の記憶は、どれだけ正確なのでしょうか。
最後に、私のミュールの靴底には、本当は、「slider」と描かれていました。
あ、もちろんウソです。
かわいい模様が描かれてたり、ブランドロゴがデザインされてたり、
彫りが浅く、決して滑り止めにはならないであろう仕様になっているのです。
そのデザインが気に入ったからではないのですが、
今年私も、変な文字が靴底に描かれたミュールを買いました。
確か靴底には、「cherry」と描かれていました。
そのミュールは捨ててしまったので、確認は出来ません。
そして先日、台風が来たあの日、事件は起こりました。
有楽町線の東池袋駅は、外から構内に入る長いエスカレーターがあります。
地上から地下に入るまでの数メートルは完全に外なので、
雨が入り込み、階段部分は濡れて滑りやすくなっていました。
ラッシュ時だったこともあって、エスカレーターに乗る人はみんな早足。
私もそれに合わせてエスカレーターを駆け下りました......
と、その時、後ろのおっさんがでっかいクシャミをしました。
「UZE-」と思ったと同時に、おっさんの黒い折り畳み傘が、
前にいる私の顔面を捕らえたのです。
強風が吹いていたこともあって、おっさん傘はぴったりと私の顔面にひっつきました。
「UWA-」っと思ったと同時に、私は、ダダダダ~~~~ッ!!っと、
エスカレーターの残り10段以上を滑り落ちてしまいました。
こういう時って不思議なもので、「痛い」よりも「恥ずかしい」が先に来るんですね。
私は、痛みを我慢して、何事もなかったかのごとく、むしろデキル女風に改札まで歩き、
華麗にスイカをピピっと鳴らしました。
しかし、私はすぐに周囲のざわつきに気づきました。
振り返ると、江角風の私のミュールがエスカレーターの最下段で、
カランコロンと転がっていたのです。
慌てて、むりやり自動改札を突破し、ミュールをとりました。
自動改札は、私のせいでピーピーうるさいし、
混雑している駅構内で、一部始終をみていた人たちの
あの冷ややかな目は今も忘れられません。
一瞬、駅を出て、ほとぼりが冷めた頃にまた改札を通ろうか、
なんて考えたりしながら、ミュールを履きました。
が、するりするり。
嫌なことは重なるもので、ミュールは壊れていました。
私は、痛さと恥ずかしさと驚きでパニックになり、
少しばかり呆然としていると、全てを見ていたあの黒傘おっさんが話しかけてきました。
「大丈夫? ごめんね、弁償するね。」
と、申し訳なさそうに言います。
「大丈夫ですので!」
と、私は言ったのですが、結局、黒オヤジは財布から2000円を取り出し、
渡してきたのです。
思わず私は、
「なぜに2000円か?」
と、口走ってしまい、ハッとした私を尻目に、おじさんは去って行きました。
仕方なく、持っていたガムテとホチキスで、壊れたミュールを裏側から直し、
私は電車に乗りました。
この事件の発端は、全く機能的でないミュールの「cherry」の文字だと思います。
これが、「WMWMWMWM」とか「SUBERISHIRAZ」とか多少複雑だったら、
こんなことにはならなかったのかも知れません。
それともチェリーがせめて、大文字だったら......。
なんて。
これは実話です、ですが。
かなり脚色しちゃいました。
実際には、台風の中、東池袋駅へ入るエスカレーターに乗った時、
後ろにいたおっさんの黒い折り畳み傘が、風でなびき、
私の頭をつんつんつんとつっついたのです。
「なんだよ」と後ろを振り返りながら、
早足でおっさんから逃げようと歩きだしたときに、自ら転げ落ちたのです。
おっさんは、関係ありません。
さらに、ミュールが脱げたりもしていませんし、壊れてもいません。
自動改札も突破していなければ、周囲の人々の様子も覚えていません。
もちろん、お金ももらっていないし、ガムテなんか持ち歩いているわけがありません。
江角風も米倉風でした。
捏造しました。
でも、転げ落ちたことは事実で、擦り傷もいっぱいできました。
そしてみんなに、「おっさんの傘が顔面に被さって転んだ」と話しました。
騙した皆さん、すみません。
捏造して人に話したのは初めてでしたが、
4人5人と話していくうちに、ささやかなウソは塗り重ねられていき、
いつのまにか自分でもどこまでが本当か分からなくなりました。
果たして人間の記憶は、どれだけ正確なのでしょうか。
最後に、私のミュールの靴底には、本当は、「slider」と描かれていました。
あ、もちろんウソです。












