プロトコラム 第2回 テーマ「オシャレ」

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せっかくだから草刈正雄について語ろうと思う。
なんつったって今回のテーマが「オシャレ」だからだ。

草刈正雄は1952年生まれの57歳、福岡県出身の元祖イケメン俳優である。
筆者と同年代の読者には、理解あるイグアナの父として、
その13年後であるごく最近では、イグアナの娘よりはるかに若い
あの掘北真希を嫁に迎える大富豪、『アタシんちの男子』の大蔵新造役として、
記憶に残っていることだろう。
ここでの、両者ともに共通する荒唐無稽な役柄設定にも、
まったくの違和感を視聴者に抱かせない存在、
そんなことが許されてしまうのは、草刈正雄の常軌を逸した
イケメンぶりがあってからこそである。
活況を巻き起こしている現在のイケメンブーム、
それにまつわるあらゆる事象はすべて、草刈正雄に始まり、その後ろに道ができた。
これは疑いようのない事実だ。

そして、そのあまりに理不尽でいかがわしいイケメンぶりが
見事にスクリーンで結実したのが、2007年公開の『0093 女王陛下の草刈正雄』である。
ここでの草刈正雄は、実の娘である草刈麻有(これがまた父親ゆずりでえらくかわいい!)
のデビュー作としても相応しい作品にするんだ、といった決意で挑み、
その孤軍奮闘の熱演ぶりでもって観る者の目頭さえも熱くする。
しかもそれでいて、お得意のあの涼しい顔は微塵もくずさないのだから、
やはり「実にオシャレだ」としか言いようがない。

だから本当に残念でならないのは、カメハメハ大王の末裔である父と、
エリザベス女王の双子の妹を母に持つ、アメリカ空軍パイロット、
ジョナサン・エリザベス・クヒオ(本名、竹内武男)という
嘘にまみれた実在の人物を主人公とした、現在公開中『クヒオ大佐』は、
笑っていても常に目には狂気を孕ませている堺雅人でも決して悪いとは言わないが、
やはり実の父がアメリカ軍人で、あの一点の汚れのないつぶらな瞳で、
だからこそ次々と人を本心から騙せる草刈正雄こそを
「クヒオ大佐」にキャスティングするべきだったのではなかろうか。

真のイケメンとは、真実を虚構に、でたらめをまことに、無意識のうちに変えうる、
外見、雰囲気、立ち振る舞い、声のトーン、
すべてが揃ってこそ与えられる称号でなくてはならない。
ご存知の通り、イケメンにはほとんどの女性が自らすすんで騙されるのだ。
多くの男がキャバ嬢に大金費やしてまで、騙して欲しいと願うのも同じこと。
そう、恋に関わる一切合切は、例外なく「騙し合い」なのである。
あっ、なんだかつい、オシャレなことを言ってしまった。


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